ブル中野様のしくじり先生
私が小学生だった昭和におこった女子プロレスブーム。
クラッシュギャルズという、正統派アイドルレスラーをメッタメッタに打ちのめす悪役がダンプ松本、ブル中野の極悪同盟だった。
それから、いつのまにか女子プロは下火になって、自分もすっかり忘れていたけれど私が20代半ばになった頃、たまに家に遊びに来ていた友達の友達が突然サラリーマンから全日本女子プロレスのリングアナに合格した。
無理やり誘われていった後楽園でのマッチに感動して、そこから約1年どっぷり女子プロレスにはまってしまった。当時は既に、ブル様も引退されていたし、観戦はもっぱらビデオ。(たまにガレージマッチっていう安い試合を見に行ってた)都内の大型ツタヤにも、少ししかない、女子プロのタイトルマッチを借りまくった。
たっくさんみた中でも、ダンプさん引退後に女子プロ界に君臨していた頃のブル様はとにかく未来過去あわせても別格で、相撲でいえば「白鳳」。土俵入りした瞬間に会場の空気が変わるように、リングに上がった瞬間に、女子プロの格が上がる。
もうすっかり昔でうろ覚えだけど、こんな試合があった。
ブル様と空中技が得意な新人レスラーの格差コンビ VS 中堅コンビ(名前でてこない)。新人レスラーは線も細くて、中堅にボッコボッコにされて、歯が折れたのか口からは流血している。
ブル様助けて!と思うんだけど、ブル様は助けない。微動だにせずコーナから見つめている。
なんとか相手をかわし、必死でブル様のいるコーナーまで辿り着いてタッチした瞬間、ブル様の猛反撃!
一気に3カウント!!!!ゴン、ゴン、ゴン、ゴ~~ン!
ブル様が倒したのだけれど、この日の主役は、新人プロレスラー。観客はみな新人の闘士を称えてた。ブル様の愛とか凄さを知った試合だった。
そんでしくじり先生の話に戻るのですが、
悪役初期のブル様の友達はダンプさんだけ。外に出れば石を投げられる大変な思いをしたそう。
体重を増量する為に打つ男性ホルモン。ファイトマネーもレスラーとしての自己管理にほとんど使っていたそうで、女子プロ時代の圧倒的な凄さは、プロレスに対するストイックさと責任感が作った張り詰めた空気だったんですね。
そして、怪我による引退とそれを認められない苦悩。プロゴルファー挑戦の失敗。
キャディー時代に、プロレスラーいじりがきつかったっておっしゃってたけど、ブル様をいじるって、その人達むしろ凄いな。
ブル中野を隠して始めた近所のムエタイジムで現在の旦那様と出会い、過去を知った旦那さまの一言が、
「何でそんな立派な過去を隠すの?君が生きてきた証しなんだから、もっと誇っていい」。
ムエタイの選手の旦那さまは、ぜんぜん強くない。だけど誰よりも、ムエタイを楽しんでいる。ずっと一番でいることが全てだったブル様がプロレスを楽しむ事を旦那様から学んだそう。
強くいる事の凄さと、たとえ弱くても楽しめることの素晴らしさを知っているブル様はまた、一つ高いところにいかれたのだなぁ。
女性の生き方としても勇気を貰えるお話でした。
ブル様最高!